知り合いに聞いた、どこかの国立大学の化学科の話です。


その大学ではここ数年で、定年退職となる教授が4ー5人ほどいたのですが、最終講義をして、いい思い出ばっかりでハッピーなエンドとはなりません。日本にしか存在しない講座制の弊害である「取り残された助教・准教授問題」が迫ってきます。一昔前でしたら、万が一教授の退職までに次のポジションに移れなくても、新しい教授が来て残された准教授と助教は気まずくとも、なんとか上手くやりつつ、できるだけ早く別のポジションにステップアップしていたんだと思います。中には退職(准教授や助教で定年を迎える)まで仲良くやっていた例も知っています。


しかしその大学の化学科では最近、内部の人件費削減と学科の活性化のために、積極的に准教授と助教を教授の定年と同時に追い出そうと決めたようです。今までですと、新任教授が来て、学生もスペースも変わらず研究自体に支障はなかったらしいです。

ここ数年で、退職した研究室の助教と准教授を別の全く関係ないラボに所属を移して完璧に学生を取り上げ、一人ぽつんと実験と研究をさせる事にしたのです。

それを推し進める側の意見では、その大学では助教と准教授は大学院生の指導権がないので、学生の指導はできないとのこと。。。しかし大学の規定では准教授は任期の定めもなく、大学院教育と博士課程の指導すら許されているはずですが、悲しいことに十分なラボスペースも学生も配分されず一人で研究するらしいです(どうやって?)。東工大など割と多くの大学で研究室名が教授・准教授研究室と変わったように他の大学では割と准教授の独立性を認めている風潮がある中で、逆行するかのような行動ですね。

また、学科内での共同研究も禁止となり文字通り追い出し部屋のような状況になります。。。

さらにその状況に追い込まれた准教授の中にはNature姉妹誌やJacsをコンスタントにだし、科研費も潤沢にとってきているような人もいて、研究者として見ると、追い出そうとしている教授よりもどう考えてもアクティビティが高い人もいるのです…もう何が何だかわかりませんが、その学科に未来はないことだけはわかる気がします。

もちろんやる気を失って、数年間、論文の一報すら書いてない人もいるので、そういう人もずっとポジションを持たせておくのもどうかという気もしますが、やり方が問題だと思います。どういう神経でやってるんでしょうね。。


流石にこの仕打ちは酷すぎます、そのような仕打ちをしておいてその教授たちは新しいラボや定年間近のラボの准教授や助教をまだ平然と普通に公募します。教授は准教授や助教を自分の駒だと思う時代錯誤な考え方を早急にあらためて欲しいものです。


追い出したいは追い出す側の都合ですが、取る側としては、端的に言って追い出し部屋にいる人なんかいらないですよね。詰まるところ追い出したいのに追い出せないようにして、精神的に追い詰めてるだけでなんの解決にもなってない気がします…


その学科の未来はいかに…