海外の友人と日本の助教の僕
スイスで出会い、同じラボにいた外国人のポスドクは続々とスイスから出て各国でAssistant Professorになった。
みんなと仲良かったし、みんないい人で能力が高いけど、1人が抜けてすごい感じじゃあなく、いい感じに協調して戦力となるポスドクたちだった。同時期に滞在した4人が各地でAssistant Professorをしている。自分を含め5人。
先日深夜に、スマホで論文を眺めていたら、とある論文が目に入った。自分と同時に研究室を出てドイツでPIをやってる中国人の友人が独立後2報目の論文を出していた。スイスを離れること一年半、その友人は2報目を出した。そのジャーナルはなんと、JACS。
めでたい!と同時に、この湧き上がる負けたくないという感情。
しかし日本の大学の助教がどうやって初年度からJACSだせるのかなあ。
彼女のHPでチームメンバーを覗いてみると、博士課程の学生が4人とリサーチアシスタントが2人とセクレタリーが1人いるのだ。お金さえとれていれば一年目からかなり強力に研究を進められる。
翻って私。教授と准教授の先生方の好意でラボ内ではほぼ100%の自由が与えられていても、学生は教授と准教授に配属された人を分けてもらう形。授業と学生指導をする権限は助教にはない。学生向けの入試案内などには自分の名前はない。学生実験の指導をしていてもシラバスに名前はない。今年のメンバーは学部生2人と博士課程の1人を教授と指導する。
修士には行くようだが博士に行く覚悟はまだ無く、研究への興味もどれだけあるかわからない学部生の2人を何とか研究を頑張ろうよとエンカレッジして12月まで来た。参加してくれた博士1年の学生と4人でみんなありえないくらいめちゃくちゃ頑張ってゴリゴリ研究してるけど、論文はもう少しかかるしJACSに通る自信は正直ない。JACSを狙える研究を始めるにはまだまだ全体としての研究力が足りない気がしている。
日本の研究力低下は、科研費の減少だけじゃあないと思っている。この研究室の構成の違いはかなり大きいと感じている。
全員が博士の学位を取る覚悟orすでに取ったメンバーしかいない海外と、お試しのような学生の説得から始まる日本。8-9割、修士が終わる前にかなりの時間を就活に勤しみラボを出ていく。スイスのラボで研究をもっと頑張ろうよと学生にいう必要は全くなかった。みんな自発的に一生懸命に研究に打ち込んでいた。日本において研究への熱量が全体としてかなり失われている気がする。
また、自分はかなり自由にできているが、助教にテーマを出す権限や一緒に研究する学生を配分しないラボもめちゃくちゃ多い。そんな環境ならもう自分は大学を離れていたと思う。
若手の応募できる科研費はありえないくらい少額で若手研究は500万/2年で大学の経費で3割持っていかれると350万/2年…さきがけは4000万/3.5年だが、採択率は激低で7-8%…これを准教授と争う。
ドイツの友人は世界大学ランキング1000位にも入ってない弱小大学にいるのだが、スタートアップ時に4000万円が大学から支給されJACS獲得に力を発揮した高額装置を一台と汎用装置と試薬をそろえてスタートしている。
この金銭状況、上司のいる大学の構造、就職予備校になっている日本の研究室。どう考えたって海外にかないっこない。海外に出たことがある若手が少なすぎて、この現状に危機感を持っていなく、先生と呼ばれてるだけで満足しているように見える。
もっと熱くなれよ、この時間にも世界との溝が深まってる。日本の狭いコミュニティで仲良しこよしをしてないで、世界と戦え日本の若者よ。
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