若手研究者はまじでお金がない。


合成設備も金もない。合成設備が立ち上ったラボしか経験してないので何をどうすればいいかわからない。という感じの人のために金のない若手研究者が安価なものを探し回って立ち上げた合成設備と、けちるべきではない部分のコツなどを情報共有します。


1. シュレンクラインの設置

大気中で行えない反応などはシュレンクラインが欲しいですね。バルーンでいい場合もあるかと思いますが、シュレンクラインがあると化合物の乾燥から反応性の高い試薬を使った操作まで、かなりできることが拡がるので便利です。安価な導入法と気を付ける点は以下。

マニホールドは高いです。ですが、シングルよりは絶対ダブルがおすすめ(6-9万円のものが多い)。最安はアズワンのこのタイプですが、操作性を考えると玉が後ろについているこのタイプ、操作を間違えると吹き飛ぶことがありコックが割れます。



おすすめは三商のこちらのタイプ。
アズワンよりも1万円ほど高いことが多いですが、扱いやすさはおおきな差があります。

ここで気を付けたいのが、真空ポンプにつなぐホース。適当なものを買ってしまったらつぶれてしまうということがよくあると思います。
昔よく使われていたライフロンチューブ。生産停止でもう手に入りません。



これの代替として教えてもらったのが、エクセロンチューブです。

肉が薄いものはポンプでつぶれてしまいます。φ6‐12 mmのものを使うとつぶれずに排気できます。それなので、マニホールドのホースを接続する管はφ8 mmが良いと思われます。シュレンクの枝もφ8 mmで統一しておくとよいでしょう。4連を一通り組むのに10 mくらいは必要だと思います。

次に真空ポンプです、いいものは20万円とかすると思います。そこで業者さんに教えてもらった真空ポンプ最安値は、アズワンの油回転ポンプ、その値段なんと2万円ちょっとでオイル付き。
こいつは不安になるくらい安いぜ。一年くらい使ってますが、合成設備用のポンプとしては問題ないです。壊れてもないし、オイルミストトラップはないわりにそこまでオイルミストも出ません。若手研究者の強い味方ですなこれは。

窒素ボンベからの配管は業者さんの好意でパーツ代金だけでやってもらえました。一万円もかかってないと思います。

マニホールドをとめるのはヤマナカのユニットスタンドを使っています。実験台の形や安全性を考慮して各自あったものを使うといいと思います。ちなみに、セットになってますが、そこまで割り引かれていないのでバラで必要なパーツだけ買うのがいいと教えてもらいましたが、面倒でセットで買うことが多いですね。

はい、これで窒素下で合成する安価なシュレンクラインが完成です。全部で15万円くらいで一台ですかね。

おまけ
合成があまり慣れていない初期メンバーのために、自分はバネ圧式バブラーを導入しました。窒素の出口側に取り付けます。スイスに全部のドラフトについていたこいつ、一個 7-8万円です。。。


スターラー
スターラーとスターラーチップは強力磁力のものがおすすめ。
天版がステンレスのものとベークライトのものがありますが、ベークライトのものがボロボロになっているのを見たことがあるので、ステンレスの最安値のものを使っています、4万円ちょいです。撹拌子も強力磁力のものを使えば特に問題なく回せます、普通のちょっと安い奴にせずに磁力の強いものにする方がいいです、ここはお金をけちると撹拌子が回らないことが出てきて悲しいことになります。

最後にオイルバス
オイルバスはアズワンのこれを使っています。4-5万円。180℃までなので、基本はこれで、数個だけ240℃くらいまで上げられるものを買ってあります。

そんな感じで、格安でシュレンクラインを完備した合成設備が25万円くらいでそろえられます。若手研究の額でも余裕で2-3台入れられます。



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