火事処理の途中ですが、気になるニュースが飛び込んできたので日本の研究環境の話題について書きたいと思います。

研究環境の疲弊と博士課程進学者数の減少を受けて重い腰を上げたように見える政府、とりあえず博士課程に「次世代研究者挑戦的研究プログラム」と称して学振と同等程度の経済支援をする枠を配分するようです。

その他に始まった「創発的研究」の採用者が大まかに助教ー准教授の支援でありました。とくに業績がある選ばれし人のためもののようで、さきがけ経験者も多く含まれていたと思います。

今のアカデミアの一番の問題は、博士課程修了者のキャリアが不透明なところだと思うのですが違うのでしょうか。特にアカデミアと企業間の人材の流動性と特任助教・ポスドク問題。

解決が望まれるボリュームゾーンである特任助教・ポスドク界隈のキャリア支援につながらない上記2つの支援策で研究環境が改善するとは思えません。

昔に採用されて働かないおじさんがアカデミアにずっと座っていられる反面で、若手はずっと任期付き、さらに任期付き教員が次にキャリアを繋げられなくても上司としての責任は取らない教授クラスの人達。。。企業だと部下を潰しまくる上司は何らかの対応処置が講じられるはずです。

特にひどいと感じるのが特任助教。ポスドクというとなりたがらない若手を騙すためにできた、授業もやらさせられるポスドクです。特任助教は2-3年任期だと思うのでその後のポジションを取るためには、教育成果ではなく研究成果を求められますが、雑用をかなりあてがわれて、ポスドクより研究アウトプットが少ないなんてことも。。。

このあたりの問題を放置しておいて博士課程にお金を出して人材集めても優秀な人が活躍してくれるとは思いません。博士が減ってきている今ですらみんな「研究ができる環境」をポスドクや特任助教として待っているのですから。

ポスドク一万人計画と同じ類の支援策にならないといいのですが。

若手の研究力が上がってきたとしたら今の論文出版数が減少を始めた教授たちのもとで助教なんかしたくなくなると思います。欧米と同じように、ポスドク2−4年をほとんどマストにして7年ほどのテニュアトラックで助教をPIとして始められるポジションを増やしてはどうでしょうか。今ある研究室にお金を大きく配っても世間が納得するすごい結果は出るでしょうか?

この現状を打破するには、若手が1から研究を立ち上げるときに大きな何かが見つかるのにかけるしかないんじゃないかと思います。今退職している年代の先生たちが活躍したのは博士を取り海外で研鑽を積んで、大学院の拡張と同時にかなり若くに独立研究環境を手に入れたことが大きいと思います。その後そのようなラボで准教授まで過ごした世代は、その先生たちを超えられていない気がします。

研究環境、改善してほしい。研究以外の業務、減ってほしい。

僕は博士課程の金銭面と既に結果がある優秀な若手研究者を支援しても状況は大きくは変わらないと思います。社会が望むような大発見を支えるには裾野の広い研究環境と挑戦した結果それが当たらなくてもいい(=ノーデータってことじゃなく得られた情報をアウトプットさえすればいい程度の)寛容性が必要だと思うんです。

どうじゃろうか。