それではぼちぼち火事の起こった日のことを書いていきましょう。

何の変哲もない金曜日の夜に起きました。

ポスドクのくせに生意気だとか、コロナ禍で赤ちゃん連れて海外行くなんてありえんとか言われそうだったので隠していたのですが、実は一歳になる娘も一緒に暮らしています。ものすごく可愛いです。親がポスドクでごめん。火事で危険な目に合わせて本当にごめん。。。

次の日は土曜日だったので、妻は語学学校でドイツ語を勉強して僕は娘の世話をしつつのんびりするのが日常です。その日は午後11:30くらいに寝たと思います。普段なら朝まで全く目覚めないのですが、夜に目覚めました、なんか、かすかに焦げ臭い気がします。スマホを見ると午前2:30ほど、キッチンがIHのような加熱方式でそれを消し忘れたのかな?と思いベッドルームからリビングルームに出てスマホのライトを向けると真っ白で何も見えません。

それと同時にベッドルームに煙が流れ込んできます。そこら辺で自分の部屋から火事かもしれない思った気がします。僕はドアを閉めて状況整理と作戦会議をしようと思ったのですが、妻はダッシュで窓を開けにいきました。(これ一酸化炭素(CO)の濃度や温度が高かったらかなり危ないと思うので皆さんはドアを閉めて作戦会議に賛成してください)

それと同時に玄関も開けてみたらしく、開けた瞬間外からものすごい量の煙が入ってきたそうです。(すごく勇敢だ。)建物に階段は一ヶ所しかないので階段では外に出れません。とほぼ同時にガスマスクをつけた消防隊員が二人入ってきました。シュコー、シュコーとガスマスクをしてるのを見ると自分たち死ぬんかな?と思うと思いますよ皆さんもその場にいれば。

僕はというと、嫁がリビングに出てくのをみて、え、行くの?って言って、娘が煙で目覚めて泣き出したのでしっかり抱えて、あたふたしてました。

シュコーシュコーが入ってきた時に英語でここにいるって言った気がします。そしたら奴ら英語喋れなくて、リビングの窓の方を指さして出ろと言っているっぽいです(ドイツ語+シュコー)。かなり呼吸も苦しいので、窓に娘を煙にあたらないようにして自分も窓から出ました。部屋は最上階なので窓から屋根に登れます。煙にあたらないように屋根の上の方に登ると消防隊員が体調を確認しにきました。みんな無事です、妻が1番煙を吸ったと思いますが問題はないようでした。本当によかった。向かいのアパートの数人が起きてこっちをみてきてます。その時は気づかなかったのですが屋根瓦ぐらぐらで普通に怖いところを登ってきたみたいです。

8月なのに肌寒い夜でした。消防隊員が屋根で待つように言うので待っているとうちの窓から煙がすごい量出ていきます。隣の家はバカンスでその週はいなかったのですが、しばらくしてドアを壊されて中を確認されたようで、隣の部屋からもモクモクモクモク。寒いだろうと思って掛け布団と毛布を部屋から隊員が持ってきてくれました。うちの毛布汚れるじゃねーかふざけんなって思った記憶がありますが、そもそも煙まみれで使い物にならないですよね。今思うとかなり混乱してました。

煙が出きるのを待ってると消防士が必死に落ち着かせようと話しかけてきます。しかし英語がめちゃくちゃ。ほぼ同じ単語もあると言うのに英語喋れなさすぎじゃないか?とおもっていたら、ニホンジンデスカ?ナンサイデスカ?って言ってくるじゃないですか。オナマエナンデスカ?

いや日本語の方が英語より上手いのかよ!!!

煙が落ち着いたら、酸素マスクをつけてもらって階段を降りて無事救助されました。入り口の外で待ってた救急隊の人にトリアージタグを生まれて初めてつけられて、軽症な人は警察署で一晩を明かすことになるらしいです。

警察署からはまた数日内に書きます。


重要なこと:

今思い返すと、建物に火災報知器はなく、消火器も設置されてませんでした。お隣ドイツではそれらとスプリンクラーは法律で義務付けられているのですが、スイスでは義務ではありません。

ラボのドイツ人とそれらのことについて話してる時に「スイスでは建物燃やす自由の方を大切にしてるのさ」と言われて二人でhahahaha。いや笑い事じゃねーわ。火事が起きてからググってきた人はもう遅い可能性がありますが、電池式の火災センサー絶対設置した方がいいです。リビングで煙が少し入ってきた時にアラームで起きれていればもっと落ち着いて対処できました。

あと姿勢低くしたり布を口に当てたり、貴重品(せめて財布とパスポート)持ったり防寒具持ったり、頭の中ではすぐできそうなことは何もできませんでした。皆さんも今一度イメージしてみて下さい。これと同じことが起こった時とその対処を。


少し余裕が出てきてから書いているので、かなり呑気な感じになってるかもしれませんが、あと少し起きるのが遅かったり火がもっと強かったらと考えると…自分たちの大切な赤ちゃんをかなり危険に晒してしまったのだと思い、火事の数日後まで自分を責めるのが止まりませんでした。無事で本当に本当によかった…

続きます。写真は屋根の上から隣のアパートの野次馬を取ろうとした時です。

まだ逃げただけですしね。