今年度から学振の書式が大幅に変わりましたね。


昨年までは、

これまでの研究結果→これからの研究の着想→具体的な内容→業績リスト→なりたい研究者像 の大まかな流れがあった。

今年からはいきなり申請計画の位置づけ→具体的内容→研究遂行能力の自己分析→なりたい研究者像

に、なったようです。

業績リストがなくなったのと、これまでの研究結果がないと言う点が大きく違いますね。わかりやすいメッセージとして、これまでの結果よりは今後の研究計画を重視するということでしょうか。

さて、これは良い点と悪い点があると思います。

いい点としては、もし本当にこれまでの研究結果を大きく考慮しないとなると、テーマに恵まれなかった学生もしっかり研究計画を立てれば学振に採択されることが可能になったということだと思います。

一方で、悪い点として考えられるのは、業績の行き過ぎた軽視です。研究とは、論文IFはおいておいたとしても、査読付き論文を発表することが絶対的なのです。その業績リストをなくすことは科学研究を担う人材を選定する立場としてどうなのかと思います。また、結局のところ業績、これまでの研究とこれからの研究が一体となって初めてその人をイメージすることができてくると思うので、計画だけだとおそらく受け入れ先生の勝負ですよね。

業績リストの良かったところは、研究テーマが若干インパクトに欠ける状況に陥ってもしっかりとした専門誌(有機化学、無機化学のしっかりとした査読付きジャーナル)に論文が通っていればそれが評価に繋がり学振に採択されることがあるところです。

そのような研究結果への評価が薄くなり、計画に過度に重きをおくと、結局うまく行っているテーマを持つラボの独壇場となり、人材の偏りを助長することになるのではないでしょうか。

また、最近の伝わりやすさ重視の研究助成や論文の採択にも非常に強い危機感を感じています。読みやすさ、伝わりやすさを意識しすぎるあまり、ストーリーに合致する結果やきれいなデータというものを無意識か意図的にか追い求めて、本当は誤差や他の要因でそうはならないはずなのに、異常にきれいなデータの論文をよく目にする気がするのです。非常に危険です、競争下で生存したいあまり科学の本質が失われつつあります。

誰もやってない予測がつきにくいことや、うまく説明できないけど面白いことをもう少し評価する仕組みがあってもいいんじゃないかと思います。

DCはまあいいとしてもPDと海外学振は業績も重視しないとみんな優れた研究計画かくと思いますよ。。。どこで選ぶんでしょうね。研究計画は海外の教授と打ち合わせたしっかりしたテーマですよ。彼ら惜しげもなくいいアイディア提案してくれます。

結局知り合いとかそういうファクターになっちゃうんじゃないでしょうかね?

どうなっていくんでしょうねこの先。

採択大学に大きな違いとか出るのでしょうか、来年度以降の学振採用状況に注目してみたいと思います。