ディフェンス
スイスに来て初めてのラボメンバーの学位公聴会、英語名をディフェンス(ファイナルディフェンス)といい書き上げた学位論文の主張を教授たちコミッティーの鋭い質問から守り抜くという意味合いです。
それもいまは昔の話で、守れなかった話を聞かないのでディフェンスというよりはイッツショータイムみたいになってます。
日本だと大学によって違いはあるものの、おおむね厳かな雰囲気で緊張感が凄くあります。さて、スイスはというと、御多分に洩れずZoom開催だったのですが30分でざっくりと一章分説明して終わりです。その後聴衆からの質問を受け付けて(今回は誰もなし)その後クローズドでコミッティーと質疑応答です。切り抜けたそのメンバーは無事に博士になりました。
面白いことにこのディフェンス、日本では考えられませんが、家族が来るらしいのです。確かにおじいちゃんおばあちゃんとご両親に彼女までZoomにいました。普段はその後の打ち上げも、家族も参加するらしいです。
確かに自分の息子の人生の晴れ舞台なら見に来たい理由もわかります。日本だと体感1/3くらいの人が炎上するので家族なんか呼びたくないですよね笑
その学位取得の要件ですが、日本だと査読付き筆頭論文一報以上のなんらかの満たすべき条件が付されていることがあり、僕が日本のポスドクをやっていたラボでは採択論文3報で投稿前のを含め5報分の本文が必要という規約があり震え上がりました。僕の学位をとった大学はケムレ1報でも取らせてくれる良心的な大学でした。でもこのゆるさのせいで中弛みする人もよく見てたので中間ぐらいがちょうどいいと思います。
こちらでは先生がいいよと言ったら投稿論文がなくても学位が取れます。グループの平均は1〜2報のようです。意外と緩いのですが、今のグループ一本の論文に注ぐデータ量が多いのでそこまで簡単というわけでもありません。
無事に学位が取れると、アペロという打ち上げがあります。みんなプレゼントに帽子を手作りするらしく、この帽子がすごく凝っています。
のんで食べて語らって、彼の大学での時間も終わりが近いです。簡単に希望の場所に研究職が見つかったようで4月からはそちらで働くらしいです。うーん、なんともストレスフリーな人生。仕事環境や学位公聴会など、日本とは比べ物にならない精神衛生の良さです。
日本でゆるくなると、途端にサボる人間が出てくると思うのですが、こっちの人たちはいいことがあってもうまくいかない時もあまり感情の起伏なくやることに集中している様子です。僕だけが日本の名残りで研究がうまくいかないとき落ち込んだり焦ったりしててより違いを感じます。
スイス方式に浸かりすぎると日本ではもう働けなくなるかも?
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