化学はポンチ絵をきれいに描く学問
まだ前回の国内ポスドク時の論文をまとめています。いつになるやら。
ずっと昔から言われていることなんですが、僕の論文原稿、図が魅力的じゃないんです。そして文章が説明調。
これが原稿をチェックしてもらったあとに先生からいただくお言葉(博士の時もポスドク一回目(国内)も)。
いやはや、確かにポンチ絵入れてわかりやすさやインパクトをきれいな図にして出す。これ一見普通にやればいいじゃんと思うじゃないですか?でもセンスがない僕はできないんですよねー。
JACSの近年増加中の某国の論文に書いてあるようなわかりやすくてストーリー仕立てにしたScheme1を入れるかどうかの問題です。(某国はポンチ絵と測定値は異常に良くかつエラーもほぼなくきれい笑 だけど、プロットの色が原色できもかったり、細かい体裁がそろっていないとか相変わらずですね笑)
あえて言いましょう。論文にそのようなポンチ絵はいりません。わかりやすさというのは専門性をもった人が評価するための共通言語で書かれているかであって、すべての論文がすべての化学を専攻している読者に簡単に理解されることなどはあり得ないのです。
そこでポンチ絵を入れるメリットは、うまく説明できるパラメーターのみ考察して本当は重要なパラメーターを闇に葬りレビューをかいくぐることや、読者を分かった気にさせて正味のインパクトを上げることにつながるのではないでしょうか。(合成化学の僕が生物化学の論文を一発で理解出来たら、それほどすごい発見なのかと勘違いするような効果)
巧言令色鮮し仁
うまくきらびやかに飾った論文は一見ちゃんとしてそうで、ちゃんとしてないことの方が多いです。
やっぱり構造や普通に物性値をきれいにプロットすることは大事だけど、ポンチ絵で簡潔にこの論文を伝える、ていうのに抵抗があるのだと思う。だからいつまでたっても二流なのか?
最近は化学においては科研費やプレゼンもわかりやすさ重視である。生存バイアスがわかりやすさにあるのだから一見普通に想像つくこと、流行っていることをやった方が受けがいい。そして似た系を引用しないようにして自分のオリジナリティを上げれば、はい完成。
これじゃあ新しい分野が芽吹くはずありません。
日本の人たち忙しいのはいいけど、全体として評価するとき、わかりにくい=説明が下手だと思ってませんか?僕の感覚ではやっぱり学問の懐の深さ広さが格が違う先生ほど評価が適切で深い理解を示します。最先端研究やアイディアはパクれても、直接事故の研究に結びつかない評価者としての能力を見るとやっぱり見識とか思慮深さの違いがすごく出ている気がします。
ポンチ絵で描けない複雑な問いを立てて解くから面白いんじゃないか?パワポのお絵かきで簡単に書けたら、なんかもったいないと思うのでした。
実際Jacsより上のNature、Scienceあたりはむしろ図が汚い奴が多い気がするのは気のせいじゃろうか。
はぁ。。論文の図、作りたくねえ。(そもそもそもセンスないから無理)
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