フリッツ・ハーバーの墓探訪記
フリッツ・ハーバーをご存知でしょうか?
この読者のいないマイナーブログを訪れる物好き科学者なら恐らく知ってる人です。この名前だけでピンと来ない人も、ハーバーボッシュ法と聞けば、あーあの人ねとなる人も多いはず。
そう、窒素と水素からアンモニアを工業スケールで合成している手法です。これがきっかけとなって、空気中の窒素→アンモニア→肥料→食糧→人口増加を支えた、といった感じで20世紀を代表する社会を変えた科学の大発見、ハーバーボッシュ法の発見者です。当然のノーベル賞(兵器開発のせいで揉めたらしいですが)。
しかし同時にアンモニアは爆薬の材料にもなりうるので、戦争を支える技術にもなります。おそらくどんな化学品も使い方によって、いい側面も悪い側面あると思います。フリッツ・ハーバーはもっとダイレクトに毒ガス兵器を作るのに貢献したことでも有名。その辺はいくらでも情報があるので興味がある人は調べてみてください。
最近、フリッツ・ハーバーがバーゼルに眠っていることを知りました。化学の徒として墓まいらずにはいられない、って事でやることの特に無い日曜の昼過ぎからレッツゴー。友人誘おうかとも思ったけと、一緒に墓行かない?っていう勇気がなかった笑
Friedhof am Hörnliというライン川の上流の北側の墓地に眠っているそうです。クララプラッツやシッフレンデから34番のバスに乗ってその終点です。30分もかかりません。
バーゼルの中心地は外国人で溢れてますが、端っこのさらに墓地にアジア人がぽつんと立っていると流石にチラチラ何やってるんだという感じで見られますね。なんか言われるわけじゃないですが。
墓地に入ると区画が1-12まで区切られてます。ハーバーが眠るのは一番奥の丘になってる12番(ぐぐると出てきます。)の区画の7676。
さて行きますかと歩いていると前に茶色い動物が…鹿です🦌。なぜここに…写真撮ってるとなんと、変な姿勢をしてるじゃありませんか。何とこちらをガン見しながら小便をしてます。
アジア人と小便🦌の見つめ合いatスイスの墓地。シュールですね…
さて12区画にきましたが広いし木々が生い茂っていてどこかわかりません…そんな時に看板を見つけました。ドイツ語なので正確にはわかりせんが、このQRコードを読み込んで名前を入れると場所わかるよって書いてある気がしてやってみるとビンゴ。詳しい地図表示ボタンを押すと、赤い線で誘導されたマップが出ます。。墓地もデジタル化が進んでいるなんて恐ろしい…
そこに花も置物も何も備えられず石のプレートがあります。
見にくいですが、上が妻のクララ・ハーバーで下がフリッツ・ハーバーです。クララはフリッツが仕事ばっか+兵器開発に反対し心を病んで自殺したんだとか。一緒に葬られたくは無い気もしますが、その後再婚したりもしたフリッツはバーゼルで没した時クララと共に葬って欲しいと言ったことが実現されたんだとか。Wikiに書いてある、彼が記して欲しいと遺書に書いてあった「彼は平時も戦時も祖国に尽くした」的な文言はありませんね。
こちらの作法もわかんないので手を合わせてきました。
ここに、時代を変える発見をした化学者がひっそりと眠っている。時代と自身の才能や化学に振り回されたフリッツ・ハーバー。どんな人か知るよしも無いが、化学者としての業績とその斬新さがあの時代のラボであのスピードで行われたことを考えると、現代の化学者としてもっと先を行かねばと思うのである。
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