最近やや思うのが、SNSを民意の大部分の様に切り取るニュース。 

少し前は日本学術会議の会員の政府による任命拒否の時に異常なまでに学術会議がネットで叩かれました。文系のことは知らないけど、理系の先生方は割としょうがなく提言してるのが半分、残りは半分は権威欲と言ったところで、やっすいお金(旅費と日当ほど)で国の雑用をやるイメージでした。(それでも国内屈指の業績と人柄が重要視されてそう)

それを、やれ選ばれただけで仕事なく100万円もらえるだの、やれ反日のための研究しかしてないだの…政府のスキャンダルになるはずがむしろ学振術会議の廃止論まで行くという謎展開に。もう勘弁してくれ、って感じでしたね。結局有耶無耶になってなし崩し的に元通りですが。知りもしない人が叩いているので…

あとヤフーニュースのコメント欄。過激で差別的な発言のオンパレードです。あんなものを周知の目に晒すなんて気が触れてます。よくもまああんなに堂々と幼稚な書き込みができるものだ、きっと匿名(だと思ってる)だから成せる技でしょうねえ。

他にもワイドショーの一般人の意見もTwitterを切り取ったものを使ってるのをよく見る様になりました。

これらが民意なら、日本人相当性格悪くて人種差別的ですよね。

テレビ離れが進んでネット生活になったことで、ネットユーザーのマジョリティの興味を引くコンテンツで広告収入を得るという業務モデルに変わってきてるんだと思います。つまりネットを見てる暇人のためにセコセコ番組やウェブサイト、時には広告まで変形してメディアは生き残ろうとするわけなんでしょうね。

一方で、研究界隈で必死に頑張る若手研究者が匿名でSNSでクダを巻くことはありません。日々一生懸命でネットで文句言う暇もないですしね。

僕の見立てでは逆のことが研究界隈で起こっています。本名アカウントによる、Twitterでの出した論文の褒め合いです。これは本当になんなんだろうか。まあみなきゃいいんだけど、内容の議論なくエクセレントワークとか言いあっちゃうのです。そして分野の仲間を多く作りレビューでリジェクトされる確率を下げることができます。有名な著者の論文のツイートに絡めば周りの多くの人に存在を知ってもらえます。分野として通りやすい流行りの研究界隈のAltmetricは他の研究のものより同じジャーナルでも目に見えて社会露出スコアが高いのです。(注目度というよりも、馴れ合い度の指標になってる気がする…)

批判的な意見や不平不満をぶちまけまくる日本の一般社会と、批判的な議論からできる限り遠のく方向にいくアカデミア。

SNSが少しずつ変える社会を横目に僕は象牙の塔に篭ろうと一生懸命に塔(将来のパーマネントポジション)を建設中です。

写真は丘の上にある廃墟の城。朽ち果てる定めでも一時は立派な城だったんだろうなあ。