うちのラボのボスはジュニアPIと呼ばれるアーリーキャリアの助教のスーパーバイズもしている。

数ヶ月前に一回そのグループの報告会を、うちのグループと合同でやった。そのPIはETHで学位を取ってアメリカの名門でポスドクを二年ほどやって今のポジションにきた。大体同い年くらい。ETHとアメリカの名門かつジュニアPIを射止めるくらいなので論文のIFやプレゼン能力はかなり高い。

一方で、ジュニアPIとして始めた研究提案とこれまで獲得した研究手法が、同程度の日本人と比べると貧弱かなあ、というのが僕の率直な意見だ。

しかしそのジュニアPIは最近、ジュニアが取れて正規のPIになったようだ。かなり早いしボスを始め教授陣の評価も高いのが窺える。

これは日本との大きな違いだとおもった。日本の若手スーパースターの特徴は2-3個の専門的な強みがもはや絶対条件で、既にそれらの組み合わせで結果を出してないと若くしてPI(准教授、大学によっては教授から)にはなれない気がする。

一方でスイスのジュニアPIは博士からポスドクで培った一個の強みを持っていれば十分で、その先は、研究提案さえ良ければ独立してから試しにやってみればいいという一種のおおらかさがある。またそれが人を育てるようだ。

日本では先端分野の組み合わせがかなり重要視され、深く一個を掘り下げる事は最近は歓迎されてない気がする。それを集めるためにビッグラボで助教をやり、せっせと業績を稼ぐ必要があるうちに、気がつけば40歳手前になる。

もう一つ。日本の若手PIというとお金の問題がある。若手の大型科研費の登竜門といえばさきがけだ。自分の分野に近いさきがけは半分が准教授のテニュア持ちだ。これって何を支援してるのかわからない…そもそもすでに相当うまくいってる人達だ…既存の研究の延長は対象としませんって書いてあるけど、延長じゃない人の方が珍しいのが僕の私見(延長か延長じゃないかは誰の匙加減だろう)。ぶっちゃけ、うまくいってる人に追加マネーを配るだけ感がしませんかね?

さらにその採択率は10%以下の狭き門。日本の一人前はスイスのはるか先にある。フレッシュさや粗削りでは到達できない環境だなとつくづく実感した。。。

さきがけ次の期に出してみます。その結果などもシェアできればなと。スイスポスドクは果たして生き残れるか、今後もご注目ください!(相変わらず読者はいませんが)