ついさっき娘と嫁を日本への飛行機へ見送ってきた。

バーゼルにも空港はあるけど、日本への直行便に乗るためチューリッヒ空港の22:40発の便にした。娘は慣れない空港だし普段なら寝る時間に空港に到着なので少し機嫌が悪く、暴れ回るのを一日中必死になだめてへとへとでした。なので少し寂しい気持ちもまぎれたかと思ったら、やっぱり荷物検査前のゲートで泣きそうになった。最後ゲートを嫁と娘だけ通過して、娘が自分がついてきてないのに気付いたようで大きい声をあげた。次いつ会えるか未定だ。だめだ、これ以上は辛くて書けない。

未来の君はスイスでポスドクしているといわれたら、昔の自分は信じないだろう。根性もとくにないし他の人より秀でた才能もない。少し勉強が平均よりできてコミュニケーション能力が低くて少しネガティブな普通の人間だった。まだ特段何かを成し遂げたわけでもないが、ここまででも十分に長い道のりだ。

今日は代わりにBUMP OF CHICKENの話でも書かせてください。

このブログをゆっくり書きながら帰りの電車でBUMPを聴いてます。自分のお気に入りのプレイリストをランダムで。

自分はBUMP OF CHICKEN直撃の世代。中学を卒業するくらいの頃、「K」や「天体観測」がヒットしたのを近所に住む幼馴染から勧められて聞くようになりました。

そのあと「ガラスのブルース」や「カルマ」、「ロストマン」など、毎日のように聴きながら高校を過ごして、受験勉強中は「Orbital period」を中心に「メーデー」「涙のふるさと」「才悩人応援歌」を聴き続けて漠然とした未来を見つめていた。

大学に入れて、内気なわりにいい友人がいっぱいでき、バイトと遊びと勉強とで充実した学部を過ごした。夜勤のバイトでミスして怒られて、明け方トボトボ歩いて帰りながら「Happy」を聴いて、友達が振られた時その元カノが好きだった「飴玉の歌」をカラオケで一緒に歌い、友達が色々と進路を見失って退学を選んだときに「ゼロ」を聴くような、そんな普通な日々を過ごした。

大学4年で研究を始めてから、厳しい研究者への道のりと現状に打ちのめされながらも、少しずつ解決する面白さや頑張ることの大切さを「ファイター」に重ね、憧れの先輩との距離を詰めようと必死に食らいつきながら「セントエルモの火」を聞く。

博士に進むころ今の嫁と付き合い始めて「pinkie」を、ようやくわかり始めてきた研究を深く見つめて学位をとるころ「記念撮影」や「トーチ」をよく聞いた。

スイスに来てからだって、火事で一時ゲストハウスに避難した時も明るく振る舞おうと「にじいろ」を毎朝聞いてたし、最近は娘と夕ご飯前にすみっコぐらしの映画にも使われた最新曲の「small world」を聞いていた。

small world の冒頭は「いろいろと下手くそな僕はこの道しか歩いてこられなかった、できるだけ転ばないようにそして君に出会えた…」で、まさに不器用なポスドクと娘なのです。


こんな感じで僕は人生の節目節目でずっとBUMPの歌に背中を押してもらってきた。同じ部屋で過ごしてた兄にもう飽きたと言われた時も、親になんだこのナヨナヨした声はと言われた時も、みんながRADWIMPSに移った時も、ユグドラシルが全盛期って新しいアルバムが出るたび音楽通の友人が言ってても、ほぼ全曲そらで歌えるのがバレて嫁に若干呆れられた時も、特に気にせず聞いてたし、これから先も多分ずっと聞く。

頑張れてる間は元気がもらえるし、厳しいときももう少しだけ頑張ろうって思える。僕にとって重要な音楽だ。

今日、スイスで半べそでBUMP OF CHICKENを口ずさみながらゆっくり歩いているおっさんがいたら多分それは僕です。キモくても申し訳ございませんが放っておいてください。もし僕以外にもこの記事のBUMP OF CHICKENの曲で言いたいことが全てわかるポスドクがいたら友達になりたいので連絡をください。

BUMPの次の曲は海外ポスドクと娘が幸せな再会をするのをイメージできる曲がいいなあ。くれぐれも「Ever lasting lie」の様な曲はやめてください。

最後に今日のプレイリストでもはっておきましょう。天体観測以来久しく聞いてない皆さんも、1人の夜のお供にどうぞ。

「記念撮影」

「メーデー」

「リボン」

「GO」

「宝石になった日」

「ファイター」

「ウェザーリポート」

「透明飛行船」

「HAPPY」

「66号線」

「セントエルモの火」

「pinkie」

「メロディーフラッグ」

「才悩人応援歌」

「飴玉の歌」

「トーチ」

「firefly」

「同じドアをくぐれたら」



普通に仕事さえ選ばなければ、家族で一緒に暮らせるのは頭ではわかっている。ポスドクを続けたりアカデミアを狙うのは自分のエゴなので、なんか被害者風にブログを書いて娘と会えないことを悲しむ資格は本当はないのかもしれない。