4月ですねえ。

これにてポスドクを4年もやってしまったことになる。化学だとそういう人にほとんどあったことがない。(やばいなあ・・・)

海外に出られたのも含めて、かなりいい経験ができたし研究成果は詰めたし、かなり自信もついてきた。

でも日本だと4年もポスドクやるなんて終わってると思われるんだろうなあ。この4月で採用された助教の人も博士取りたてほやほやや1-2年外のラボでポスドクをやって出身ラボへ出戻りした人ばかりだった。相変わらずですなあ。

正直少し心が折れそうになっている。どこからどう見ても自分の帰る居場所はなさそうだ。こんな状況でだれが海外になんか行くのか。

海外に行くことで身につくのは、将来の長い目で役に立つ心のしなやかさや科学の考え方や人的交流であり、正味の論文数はかなり日本よりはずっと目減りする。日本だとポスドクでも学生を教えて共著や、学生の結果で論文を書く人も見る。学部修士が大半の日本の研究室の重要な戦力でかなりのクレジットがもらえるだろう。海外に出るとみんな研究ができる博士課程ーポスドクが主戦力だ。みんなの信頼を勝ち取り自分の研究を軌道に乗せ、まわりに頼ってもらってようやく共著論文だ。日本と比べて、論文数が増えることはまずないだろう。

こちらのポスドク仲間でしばしば話題にでるのが、これまでどれくらい幅のあるラボを渡り歩いたのか。合成化学でいうと大まかに合成できる化合物のカテゴリーと特性の測定の二つの軸があり、博士課程からポスドクである程度研究対象を変えることが強く推奨されている。新しい分野や知見をどれくらい柔軟に吸収してアウトプットをうみだして、将来の自分の研究を描くかが今後のポジション争いに参加する重要なファクターとなる。論文がすごくてもポスドクで正味博士の時点で得意だったことにしか挑戦してないと、あまり高い評価は得られないと感じる。

日本の博士取り立てや出戻りの人と比べて、世界の科学先進国では助教の段階でかなりタフな研究提案と多様な人間への教育力をがっつり評価される。

これが日本と国際社会の助教の能力の差である。実際今までは年代が違うので見えてなかったけど、よく知る同年代の人が助教になるのを見はじめると、、、日本の未来は暗いだろうな。笑

もっとタフに自分のやりたい研究を持ってる人を積極的に採用しないとやばい。僕の知る同年代助教はどう考えても新しいことに挑戦できる研究力や熱意が十分というにはほど遠い。

といってもまだポスドクをやってる人に日本の助教先生をとやかく言う権利はないのである。このギャップが僕の心をむしばんでくる、マジでつらい。


海外と日本の若手に求められる差を埋めないと国際競争力がつくはずはない。いろいろな先生から、今の僕の状況をすごく貴重で日本の公募では有利と言っていただける。だが実際採用される人に海外経験を持つ人はかなり少なく、実際の人事をチラ見してると日本で助教をする上での海外に出るメリットはないように見えるのである。

また、とある海外教授が言っていたのは、日本人ポスドクはすぐに日本に帰るから、むなしくなるのであまり相手にしないという話だ。一年やそれ未満で切り上げて日本の助教にすぐになるパターンだ、実際結構見る。特によくあるのが出戻りで博士とったラボに戻るやつだ、完全にこっちのマスターがやるインターンやプラクティカルと同じ流れじゃん。。。これだと、せっかく海外に来た意味が希薄だと思う。二年はいてしっかりとラボにおける新しい知見を出して、重要なメンバーとして認められたほうがプロの研究者としても成長するし、今後の共同研究の信頼性も勝ち取れる。日本ではASAP助教が重要なせいで、若手も損な選択をしてしまっているのだ。

若手に独立した研究環境を、と最近いろいろと聞くようになってきたが、大学が躊躇するのは、日本のポスドク-博士学生層がこの「日本の助教」を目にして過ごしているためやはり能力不足に感じるからじゃないかな。日本の同年代は合成・測定は海外の人よりできても、アイデアを練りいい論文にする点は非常に弱い。日本の若手に国際的でもっとタフな研究環境をしっかりと体験してもらいたい。今の若手の育成と現状の助教の採用を続けると日本の科学はもっともっと衰退するだろう、多分、間違いない。