ノーベル賞は、案の定はずれました、2年連続で有機化学とは、当たった人はそんなにいないんじゃないかな。


こうして卓越した能力を示せなかった僕はまだポスドクでの修行が必要なのかもしれません。ノーベル賞を当てたことによる助教昇進は来年に持ち越しです。


先日、去年ラボを去っていまだに博士論文を書いているドイツ人ラボメンバーと昼ごはんに行った。


最近相次いでラボメンバーが次のステージに旅立って行った中で、彼はまだ博士論文を書いているようだ。みんなからこの一年以上博士論文を書いていることで陰で馬鹿にされているが、彼の知識量はすごい。最近Natureにでた論文の内容を知ってるかと思って話題に出したら、それもう他の人が予測して測定もかなりされていたことを知っていてかなり難しい背景も実は執筆中のイントロに含まれているらしい。


そしてその先の話がしたかった僕の難しい物理化学的な話をしっかりと議論してくれるのは彼しかいないのだ。ラボのみんないい人で、実験は一生懸命だけど、他の研究への興味や、なぜかを突き詰める深さが足りない。自分が満足いくレベルの科学的なセンス・倫理・知識を持ってるのは今のところ彼だけなのだ。


わかるよ、理解してないとイントロ書きたくないし、しっかりと正しい議論を博士論文に書きたいのは。でも僕は博士論文は時間に追われながら片手間に書き上げたものでとてもじゃないけど見せられる出来じゃないし、人生を止めるじょどの価値なんかないって早く気づいてほしい。


僕はそのドイツ人みたいな研究者が増えてほしい。お願いだから見切りをつけて、教科書の知識を身につけるのに段落を作り、自分にしかできない研究を求めてキャリアを進めてほしいと切に願うのである。


基本を無視して突っ走る人と、すごい速度で進む科学を学ぶだけで満足する人が多い気がする中で、卓越した知識と新しいことを見つけたい情熱を兼ね備えた若手に増えてもらいたいな。



自分もまだまだだし、日々精進です。