アイガートレイル後半、雪山ガチ装備なおじさんとすれ違ったのち、前を見るとずっと続く結構な登りと膝下までの深さになった雪…


これはもしかするともしかするのでは?


登り側に向かって1人が歩いた足跡と、すれ違い降っていくおじさんの足跡の2つしかありません。ちょっとでもそれらの足跡を踏み外すとサラサラの雪と共に100mは滑落しそうな道が続いていきます。マジで怖い。


そしてアイガートレイルに入って2時間ほど休憩してなかったのですが、周りはすべて雪に覆われていて座って休憩もできません。せめてなにか栄養補給をしなければとおもいバナナを取り出して皮をむいてかじりつくと「シャリ」って半分凍ってるじゃないですか。。。まずいぞ、、、コーラゼロをがぶ飲みして、なんとしても登るぞっと気合を入れ直します。


そして問題発生、雪が深くなってきて靴に雪が入り込んできます。探しても長い靴下が見つからなかったので、なめてくるぶしまでの靴下を履いてきたのが本当に悔やまれます。。。そしてほぼ4時間登りっぱなしで足がガタガタ震えてきました。ちょっと休憩しようと立ち止まるとあっという間に体が冷えるので立ち止まるわけにもいかなくなってきました。


景色はすごくきれいなのに、、、これはまずいぞ。。。

チノパンが濡れた上に凍って周りに雪がついて足首を継続的に冷やしてきます。ふと右側の谷を見るとロープウェイが通ってるじゃないですか。たくさん観光客が乗っているぞ。ロープウェイに乗っていった先にあるヨーロッパの電車で行ける頂上、ユングフラウヨッホに行く予定なのだと思われます。雪山を登る僕よりみんな暖かそうな格好をしている。

何人かが雪の中登っている僕を見つけて手を振ってきます。ない元気を振り絞り元気よく手を振り返す。結構死ぬんじゃないかって考えてたけど、どこかで倒れたり滑落してもロープウェイの人が救助を呼んでくれたら助かるんじゃないかと思い始めた。


そして娘と嫁を思いながらここで死ぬわけには行かない、登るぞ。。。ってグイグイすすんでいくと、、、見えた、ロープウェイ駅(アイガーグレッチャー駅)だ!助かった。。。と思いきや何もないから見えるだけで結構遠い!!!

サラサラの雪のなか最後の力を絞ってなんとかたどり着きました。。。足は凍傷になる直前で肌が突き刺されるように痛かったです。。。


アイガーグレッチャー駅にフラフラになってたどり着くとそこに待っていたのは、、、でたー韓国人観光客たち!!危ないところだった自分と、ロープウェイできて大きい声で会話しているおばちゃんたちの楽しげな喧騒。。。なんてシュール。


速攻でカフェに入って温かいカフェオレを注文します。。。そして、自分が歩いてきた道をネットで調べてみると、アイガートレイルは下り専用のハイキングコースで10月中旬から雪が積もるため通行禁止という情報を見つけました。

何も調べずに登りで雪の中で初心者が装備無しで歩くのは本当に無謀だったと反省しました。5時間で1300m登り平坦距離にして12kmのハイクになりました。平均11%勾配…気温は-5℃だった気がします。


アイガーグレッチャーから楽しげな観光客は次々にユングフラウヨッホ行きの電車に乗り込んで行きます。(カフェは乗り場ゲートの前)こんなに雪山を堪能したのに、この上100CHFを払ってさらに寒いところに行く気にはならなかったので、もう帰ることにして速攻でロープウェイにのってグリンデルワルドに戻りそのままバーゼルに帰りました。


そんな話をラボに戻って山好きのドイツ人にすると、それはやばかったね(笑)っていわれて、でも、それくらいのスリルがないと楽しくないじゃん?って言われて確かに!ってなった。笑


化学系の研究者はリスクを取るのが大好き。


後半結構死ぬかと思ったけど、振り返るとやっぱり火事よりかは全然危険ではなかったな。トップページにタグ付表示させたので火事にあった話を見てない人はポスドク死にかけたシリーズとして火事の方もどうぞ。


息を呑むほど美しい雪の中のアイガーの北壁。見たいと思った皆さん、絶対真似しないでください。真横を通るロープウェイがありますよ笑