大学院も後半になった頃、英語論文を「書く」という動作に慣れてきて、なんだ論文なんか簡単じゃんと思い始めた時期があった。生意気な思いを抱いてたなあと、今では恥ずかしい思いでいっぱいである。

それは多分、自分が得意な6年の分野の蓄積をまとめる時期だったのが少しと、大部分は単なる思い込みによるものだったと言わざるを得ない。。。


数日前に、前にいたラボの論文の査読結果が返ってきた。ACSの専門誌で化学の細分野の中(有機化学、無機化学とかのカテゴリー)では一番質の高いジャーナルって事になる。結果は好印象で、実験手法や新規性に加え徹底的に調べたComprehensiveさやExhaustiveな仕事だと概ね好印象で、ようやく終われるとホッとした。一方で、英語の記述レベルが仕事内容に対して見合ってないというコメントも…

実際改訂を重ね、リジェクトを重ねて精神的にもボロボロになっている上に、自分以外が文章のチェックをしてくれない苦しさ、こっちの仕事も進めなければいけない点でかなりの負担になっていた。また、内容もデータ量が異常に多く、かつ、一つ一つの測定が自分には新しくてどこまで記述が正しいかなど、気をつける点は莫大の箇所に及んだ…

今思えば最後はもう投げやりになっていた。そりゃあもう一個上のランクを狙えたかもしれない内容でも、この記述じゃあやっぱりリジェクトが妥当だったと言わざるを得ない。この査読期間にスイスのボスの論文の速さ、うまさを見た手前、帰ってきた自分の論文の文章がへっぽこに見える相乗効果で大分打ちのめされた。

実際現在のボスの論文の改訂を見るまでは、自分がここまで論文を書くのが下手だと気付きたくないため目を背けてきた。明確に言えるのは、この先のキャリアで論文を書く能力が僕の最大の弱点になるだろうと言うことだ。実験やテーマの立案や測定・解析はかなりのレベルになっていると胸を張って言える。どんどん新しいことに挑戦したいのだが、ここの記述レベルが上がらないのが歯痒くて仕方がない。

そして遅い。大した量の改訂じゃないのに丸2日パソコンに座っても終わらなかった…悔しいけどこれが今の実力…もっと速度と質ともにあげなければならない…しかし、どうやって?

スイスのボスに論文が苦手なんだよねと思ってる悩みを相談してみた。

「大丈夫!俺がブラッシュアップしてあげられるよ!」

キャー頼もしい、安心してボスの部屋を出た。ん?それってただ原稿直してあげると言う意味か?それをみてるだけで質と速度は向上するのか?

生半可な努力じゃあ越えられない壁にぶち当たってる気がする…