同じラボで6年の研鑽をともに積み、学位を同時に取った同期がいる。

彼は今は日本の国立大学の特任助教だ。今年の3月末までの任期だったと記憶していたので、近況報告もかねてZOOMのみをした。来年からも契約を延長してもらえるらしくて、ほっとした。

同期の赴任したそのラボには、すでに助教と講師と准教授が正規教員でいるようだ。そこで4-5年続けて、その後正規教員に昇進させてもらえる確率は低そうである。

特任助教なので財源は4-5年の短期プロジェクトだと思われる。まだまだ数年はお互い心配な日々が続くんだろうな。

ふと思った、教授の人が45歳くらいで着任して、約20年ラボを運営したとする。

今の化学の講座システムだと、准教授と助教一人ずつがスタンダードな研究室の体制じゃなかろうか。そしたら、一人の教授につき、20年分、助教と准教授がつくこととなる。そのラボが、助教から准教授に挙げてくれる場合、ストレートで27歳で助教になってから20年待つと一つポストが空く計算だ。長期で雇う前提でも、すでに教授1人につき2人も人材がいるので、究極的にどちらかしか教授にはなれない。これを助教は常に5年任期ですでに1回助教をやった人を雇わなかったとすると、教授一人で4人の助教が誕生する。


さらに特任助教もいるということだ。この特任助教はポスドクよりも酷い待遇から、准教授に近い優秀な人の腰掛けまで異常に幅が広い。助教と違い人数を気にせず採用できるため、准教授を待つ人数は全体でコントロールされずに増え続ける。

すごい数の人が任期なしを目指して待っている。


かつ、教授の先生もみんな心ない鬼ではない。助教の先生を首切るのも忍びないと人気を伸ばし伸ばし10-15年も助教をやってしまう人も見える。そのまま教授が退職して1人取り残されることもよく見る。

これってすごく無駄でしょう。


結局、教授が辞めないと教授を増やせないのが問題なのは間違いないだろう。

欧米と同じように、1人を7年目に任期なしへの審査があるテニュアトラックで、終身雇用を前提として確保しておけば、教授の人数ベースじゃなくて教員の全体数として昇進させやすいし、教授1人の責任じゃないので、プロダクティビティが見合わない時に見切ってテニュアをオファーしない決定もしやすい。ハラスメントも減るよね。

日本の教授が1人が何人もの人事権を握るのは時代錯誤だろうなあ。


とかくにものいえどもなにも始まらない。盟友も頑張っている。自分ももっと頑張らねば!明るい未来を目指して乾杯。このビール結構好き。